司馬遼太郎を読む
ホームページの方を更新。次はガウェインの離婚話か、「恋するオルランド」のどっちかやろうと思ってます。
さて、『坂の上の雲』を読み始める。いま、3巻の頭。もうすぐ日露戦争が始まりそうなところ。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/01/10
- メディア: 文庫
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…失礼だけど、そんなに面白くないな。私は、司馬遼太郎作品だと、『竜馬がゆく』と『関ヶ原』と『義経』と『燃えよ剣』、あと短編をいくつか読んでるけど、司馬遼太郎はどうも「人間」を書く気がさらさらにないようだ。「時代」を書いてる感じ。そのせいで「キャラの魅力で読ませる」という点に対する努力をほとんどしてない気がする。主人公の秋山兄弟の兄の方、好古の結婚など2行で片付けられたし、同じく弟の真之のもだいたい同じ感じ。思えば、『関ヶ原』は関ヶ原の合戦の前後だけを、『義経』にしても源平の戦いだけを描いてて、およそ人物の生涯を書こうとしてはいない。
そういえば、『義経』のラスト2ページでダイジェストのように源平後の義経が書かれていたときは驚愕したものだ。読んでないけど、『新史太閤記』とかも秀吉が天下統一する場面で終わってしまうそうな。『燃えよ剣』なんぞはかなりキャラの魅力があったけれど、あれはどうやら例外のようだ。「人間を書く」という点なら、司馬遼太郎は池波正太郎の足元にも及ばない、と思う。
ただ、司馬遼太郎作品というのは「人間はどう生きるべきか」みたいなのが結構書かれている気がする。『竜馬がゆく』などを読んでいると、日本を救うためになんかやりたい、という気がしてくる。頑張ろう、とか思うようになる。孫正義社長が『竜馬がゆく』で感動して座右の書にしてるって話は有名だけど、司馬作品には「人を動かす力」みたいなものがある。私の好みはキャラの魅力を楽しむ派なので波長が合わないにせよ、力を感じるのだ。100年たっても残っているような気はする。